


81plusは、鹿児島県・鹿児島県旅客線協会から委託を受け、鹿児島から奄美群島を経て沖縄まで運航するフェリーのブランディングおよびプロモーションを実施しました。本事業では、事業環境分析を起点に戦略を立案、ネーミング、ロゴ、撮影、映像、ウェブ、紙、SNS、広告配信、ツアー造成まで、すべての施策を81plusが一気通貫で手がけ、奄美群島の認知・興味・関心の獲得ならびに、マルエーフェリー・マリックスラインが運航する鹿児島-奄美群島-沖縄航路と、奄美海運が運航する鹿児島-喜界島-知名航路の2つの航路の利用を促進しました。
鹿児島県と沖縄県の間に位置する奄美大島・徳之島・加計呂麻島・喜界島・徳之島・沖永良部島・与論島などの島々は奄美群島と呼ばれ、世界自然遺産にも選ばれた豊かな自然環境と、島々で紡がれてきた独自の文化や、愉快で優しい島民との出会いに溢れた魅力的な島々です。
一方、奄美群島の観光はコロナ禍からの回復が遅れ、沖縄県がコロナ前の水準を超え2025年に2019年比106%まで成長したのに対し、奄美群島の観光客数は2019年比96%にまでしか回復できず、日本全体の観光業の成長から取り残されつつあるのが現状です。
奄美群島の観光振興に向けて解決しなければいけない課題は多岐にわたりますが、本事業では下記の3点を戦略的な課題と捉え、奄美群島ならびにフェリーでの観光振興に取り組みました。
奄美群島のデジタル情報量は、沖縄県と比較して最大で1,000倍以上の格差があります。Instagramのハッシュタグ投稿数、YouTubeの観光動画再生数、観光協会のウェブサイトの情報量や多言語対応、そのいずれを見ても、奄美群島の島々の情報は圧倒的に少ない状態にとどまっています。「情報がないから行かない、行かないからさらに情報が生まれない」── 検索とSNSが旅先選びを大きく左右する時代において、この負のスパイラルこそが、奄美群島が旅の候補に選ばれない最大の構造的要因と考えました。
奄美群島の島から島へ渡る「アイランドホッピング率」はわずか30%前後。八重山諸島の60〜80%と比べれば、島と島を船で巡る観光への認知は非常に少ない状況です。
奄美群島には、マルエーフェリー・マリックスライン・奄美海運の3社計6隻のフェリーが、6つの島を結ぶ独自の航路網を形づくっていますが、アイランドホッピングに関してほとんど情報発信していませんでした。そこで本事業では、分散していたフェリーと島々の情報を1つのブランドに束ね直し、「フェリーで島から島へ渡る旅」そのものを観光資源として再定義することからプロジェクトを始めました。
奄美群島には、各島ならではの自然体験、伝統文化、食、人との出会いといった、唯一無二の観光資源が点在しています。しかし、それらを束ねたパッケージツアー、とりわけフェリーの乗船券と宿泊、現地での体験までをワンストップで届けるアイランドホッピング型のツアーは、これまで市場にほとんど存在しませんでした。背景には、島ごとの事業者と複数のフェリー会社を束ねるツアー設計は手配が複雑で、大手旅行会社にとっても商品化の優先度が上がりにくいという構造的な事情がありました。
本事業では、奄美群島各島のツアー会社・ホテル・観光協会と直接交渉を行い、それを大手旅行会社につなぎ、フェリーと島の魅力が一つになった具体的な”旅の選択肢”を提案する取り組みを開始しました。
新しいスローガンは「フェリーでボンボヤージュ— 奄美の島々を紡ぐ船旅」。
「Bon Voyage」はフランス語を起源に、英語圏でも広く通じる「良い旅を」の挨拶。「Voyage」という語には、船旅、そして長い旅というニュアンスが込められています。島から島へ、景色から文化へ、人から人へ。フェリーを単なる移動手段ではなく旅そのものとして楽しんでいただきたい。そんな意志を、世界で通じるひと言に託しました。奄美大島・加計呂麻島・喜界島・徳之島・沖永良部島・与論島という個性豊かな6島を「紡ぐ」体験を旅人に届けることが、本プロジェクトの軸となるコンセプトです。
奄美群島のフェリーは、2つの航路を3つのフェリー会社が運航しているという独特の事業構造を持ち、運航ダイヤやチケット購入の流れが複雑になりがちでした。加えて、これまでインターネット上の情報は充実しているとは言えず、旅を検討した瞬間に必要な答えが揃わず、潜在的な旅人の検討意欲が静かに離れていってしまう構造的な断絶があり、それが奄美群島へのフェリー旅の入口を狭めていた根本要因です。
本サイトでは、これまで各社・各島・各団体に分散していた情報を、ひとつのデジタル拠点に集約することからプロジェクトを始めました。「航路の紹介」「奄美の島々」「フェリーの紹介」「フェリーの乗り方」「フェリーの楽しみ方」「島巡りツアー」という6つのコンテンツ軸を中心に、鹿児島–奄美群島–沖縄航路と鹿児島–喜界–知名航路の2つの主要航路の全体像と出発地・目的地から検索できる乗船検索、マルエーフェリー・マリックスライン・奄美海運の3社6隻それぞれのフェリーの個性、奄美大島・加計呂麻島・喜界島・徳之島・沖永良部島・与論島という個性豊かな6島の魅力、そしてHIS・オリオンツアー・沖縄ツーリストの島巡りツアーを条件横断で検索できるツアー検索ページ。これらすべてが、1つのサイトの中で一貫した世界観で繋がっています。
ブランドコマーシャル映像に加えて、奄美群島6島それぞれのプロモーション映像の計7本の映像を制作。
それぞれの島の固有の魅力に沿って、コピー、シナリオ、演出、トーン&マナーまでを個別に組み立てています。観光地の名所をなぞるだけのプロモーション映像ではなく、その島でしか出会えない人、時間、空気感を、映像美と物語の力で立ち上げることを徹底しました。
完成した映像は、YouTubeとSNSの両方で運用できるよう、横動画と縦動画の両方の形式で展開。SNS運用やデジタルマーケティングを組み合わせ「映像をつくって終わり」ではなく「映像を起点にブランドが伸び続ける」状態を、設計と運用の両面で目指しました。
そして、加計呂麻島の『心の余白を彩る島。』は、日本国際観光映像祭2026にて、国内部門 Tourism Destination Regions の最優秀賞、ならびに国際部門 同部門の優秀賞(Silver)を受賞しました。
日本国際観光映像祭2026 国内部門:ファイナリスト
日本国際観光映像祭2026 国内部門:オフィシャルセレクション
日本国際観光映像祭2026 国内部門:Tourism Destination Regions – 最優秀賞
日本国際観光映像祭2026 国際部門:Tourism Destination Regions – Silver(優秀賞)
マルエーフェリー、マリックスライン、奄美海運のフェリー3社に対して、それぞれ「モデル版」と「フェリー版」の2パターン、計6種類を制作しました。これらのポスターは、鹿児島から奄美群島、そして沖縄までの各港、フェリー船内、観光案内所、旅行会社の店頭、パートナー企業の窓口など、フェリー旅人が実際に通過するさまざまな場所に掲出いただいています。
デジタルパンフレットでは、フェリーでの船旅そのものの楽しみ方と、奄美群島6島をめぐるアイランドホッピングの旅の組み立て方を、1冊で完結する読み物として再構成。航路と港の全体像、3社6隻のフェリーの個性、乗船から下船までの流れ、各島の表情と過ごし方、フェリーならではの過ごし方のヒントまでを、撮り下ろしの写真と整理された情報設計で束ねています。公式サイトからブラウザでそのまま閲覧できる仕様とし、必要な人に必要なタイミングで届けられる、持続性の高い情報資産として運用できる形に仕上げました。
本事業のデジタルマーケティングはブランドとクリエイティブの設計思想を、そのまま広告配信とSNS運用に接続するという考えのもと組み立てました。Instagram・YouTube・Meta(Facebook/Instagram)・Google検索広告・P-MAX広告といった複数のチャネルを横断し、認知から興味、サイト訪問、そして旅行会社のツアー申し込みまでを、1本の導線として包括的に設計、効果を測定しながら運用を進めました。
YouTubeでの動画広告は認知の起点として、Metaのインフィード広告と縦型動画は興味喚起と保存・拡散の起点として、Google検索広告とP-MAX広告は旅行を具体的に検討する層への決定打として、それぞれの役割を分担。視聴単価・クリック単価・フォロー単価のいずれも、業界の一般的な水準を大きく下回る効率で運用することができました。ブランドが持つ世界観を媒介に、潜在顧客の意思決定や行動変容に結びつけることに成功しました。
公式Instagram(@ferry_bonvoyage)は、開設からわずか5ヶ月でフォロワー1万3,000人を突破しました。日本人だけでなく、台湾・韓国・タイ・香港といった、奄美群島の未来の重要な顧客となるアジア圏のフォロワーも自然な形で獲得しています。映像賞を獲得した動画、撮り下ろしのスチール写真、奄美ならではの絶景を切り取った縦型ショート動画シリーズ「Amami Islands Moment」など、世界観を凝縮した投稿を継続的に設計。コメントへの返信やストーリーズの活用を通じて、フォロワーとの双方向のコミュニケーションも丁寧に積み重ね、単なる「数」ではなく、奄美群島を旅したいと能動的に願う”質の高いフォロワー”を集めることを意識しています。
| Creative Director, Web/Graphic Design, Copywriter | 岩本 義樹 |
| Director, Edit, Camera, Drone | 江崎龍彦 |
| Camera, Drone, Sound | ジョージ レイ |
| Camera, Drone | 木原 クリス 正人 |
| Still Photography | 平本 泰淳 |
| AP, Casting, Instagram | 玉城 翔子 |
| Web Engineer | 向山 俊明 |
| Logo/Graphic Design | 鈴木 康平 |
| Contnets Marketing (Tour) | 水野 真衣 |
| Digital Marketing (Ad) | 横山 ふみ |
| Cast | 松岡 未紗 / 神田 朝香 / 玉城 翔子 / 比嘉れいな / EMIRI |